航空基地訪問記(北海道編)

海軍設営の小型機用掩体壕
女満別空港付近にて撮影


パイロット道路
  仕事の関係で北海道、合間をぬって旧軍ゆかりの航空基地を訪ねることにした。
何かありそうなそんな予感を覚えながら、車を走らせる。
  経路は千歳〜帯広〜根室〜中標津〜女満別〜別海〜旭川〜丘珠(札幌)〜千歳〜沼ノ端〜苫小牧と 事前に下調べをしたわけでなく、近くに行けば何とかなると言う程度だったためか、期待と裏腹に、結果は散々たるものとなった。
 もう半世紀以上前の出来事なのか、唯一存在を示すものが上記の写真だけであった。

弟子屈飛行場
 陸軍の場合、昭和20年6月頃の防空部隊は、32戦隊(丘珠)の1式戦20機前後しかなく、7月の爆撃により、帯広・計根別・八雲・丘珠等の航空基地の施設等は蜂の巣、使用不能状態となってしまっていた。

 海軍の場合は、 美幌空・千歳空及び203空の零戦等では広大な北海道の防空を守るには手薄な状態で、陸軍と同様7月の爆撃でほとんどの基地で 使用不能状態となっていた。

女満別空港
 たいした成果もなく気落ながら図書館に行き、北海道関連の書籍・雑誌等を閲読、その内で「当時、北見市に北見航空会社があり、にせ航空機(木製のはりぼて)を製造し、それを飛行場に点々と置き、敵機をごまかすために利用された。」とあり、また、江別の王子製紙においても満州に移転した製造機械の無くなった工場において同様の機体を製造していたそうである。果たしてそれだけのために作られたのか、否、本当に飛ばすために作られ、何かの事情で、エンジンが到着しないためにそういう用途に使われたのではないか。ご存じの方はお教え願いたい。

場 所 区分 使用部隊及び使用航空機等 現 在
帯広第1 緑ケ丘 陸軍 38戦隊:100式司偵
62戦隊:97式重爆
74戦隊:100・4式重爆
95戦隊(第1飛行師団):、100式重爆
帯広駐屯地
帯広第2 帯広空港?
根 室 海軍 細部不明 根室分屯地
中標津第1 海軍 細部不明 中標津空港(遊覧飛行場)
中標津第2 海軍 細部不明 痕跡なし
計根別第1 陸軍 32戦隊:99式襲撃機、100式重爆 別海駐屯地
計根別第2 陸軍 未完成 いずれかの1つが弟子屈
飛行場(
遊覧飛行場)で、
近くの矢臼別演習場内に
は3カ所の
着陸場がある。
計根別第3 陸軍 未完成
計根別第4 陸軍 未完成
美幌第1 海軍 美幌空:96陸攻、零戦
203空:零戦
美幌駐屯地
美幌第2 海軍 903空:96陸攻23型、艦攻 女満別空港
美幌第3 海軍 903空:艦攻 痕跡なし(農地に転用)
旭 川 陸軍 連絡用 旭川駐屯地
札幌第1 丘 珠 陸軍 54戦隊:1式戦 丘珠駐屯地
38戦隊100式司偵、キー106
札幌第2 陸軍 細部不明 痕跡なし
千歳第1 平 和 海軍 千歳空:96陸攻、零戦
203空:零戦
千歳基地
千歳第2 小 谷 海軍 901空:97飛行艇、99艦爆、東海 東千歳駐屯地
千歳第3 細部不明 痕跡なし
沼ノ端 苫小牧 陸軍 4式戦 痕跡なし(苫東工業地帯)
室 蘭 高 平 陸軍 63戦隊の一部:97戦 痕跡なし(宅地に転用)
八 雲 陸軍 6教育飛行隊 航空自衛隊基地


納沙布岬にて撮影